関西の一部など地域によっては、香典の受け取りを断る、香典辞退の慣習があります。また、少人数で行う家族葬などの場合、ご遺族側が準備の負担を少なくするために、香典の受け取りを辞退するケースもあります。ご遺族から香典辞退の意向を伝えられた場合、香典を渡さないように注意しましょう。
香典辞退といわれているのに無理にお渡しすると、かえって失礼にあたります。
香典を辞退する背景には、慣習のほか、故人の意思や宗教上の理由が関係していることもあります。いずれにしても、辞退の理由を詮索するようなことをしてはいけません。
香典辞退の意向は、基本的には葬儀の案内状に「お香典は辞退させていただきます」などと記載されています。また、通夜や葬儀に香典を持参しても、受付で辞退の旨を知らされたときには、無理強いせずにそのまま持ち帰ります。
葬儀の場では、「忌み言葉」と呼ばれる避けるべき言葉があります。香典をお渡しするときや、ご遺族に挨拶をするときのほか、郵送する香典に添える手紙を書くときにも、忌み言葉を使わないように注意が必要です。
代表的な忌み言葉は、以下のような「死や別れを連想させる言葉」「重ね言葉」「繰り返しを連想させる言葉」です。
・死や別れを連想させる言葉
「死亡」「急死」といった直接的な表現や、「終える」「切る」などの別れを連想させるような言葉は、忌み言葉としてタブーとされています。「死亡」は「ご逝去」など、適切な表現に言い換えましょう。
・重ね言葉
「ますます」「くれぐれも」「わざわざ」などの重ね言葉は、不幸が重なることを連想させる忌み言葉です。「ますます」は「一段と」に、「よりいっそう」「くれぐれも」は「どうぞ」「十分に」などに言い換えるとよいでしょう。
・繰り返しを連想させる言葉
重ね言葉ではありませんが、「再び」「追って」など、繰り返しや続きを連想させる言葉も忌み言葉とされています。「再び」は「あらためて」に、「追って」は「後ほど」などに言い換えます。
仏教では、四十九日を過ぎると故人は成仏し、仏になると考えられています。香典をお渡しするタイミングに応じて、「御霊前」と「御仏前」を適切に使い分けるようにしましょう。ただし、浄土真宗の場合は、お渡しするタイミングにかかわらず表書きは「御仏前」とします。
また、神式の場合の表書きは「玉串料」「御玉串料」「御神前」「御榊料」、キリスト教式の場合は「御花料」とすることが一般的です。なお、キリスト教式のうちカトリックの場合は、御霊前の表書きを使うこともあります。
続く